2008年06月02日

チャーリー・ウィルソンズ・ウォー

映画の日の割には空いた映画館で「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」を鑑賞。感想を一言で言うと「アフガン侵攻と冷戦構図をおさらいしてから見ましょう」です。

予告は「たった1人で世界を変えた 本当にウソみたいな話」なんてキャッチ付きでトム・ハンクス&ジュリア・ロバーツが全面に出ているけれど、ラブコメっぽい気軽な作品を期待したら字幕の羅列に完全に裏切られる。これ配給会社の戦略失敗では…?甘いキャンディと思って口に入れたら高カカオチョコ。予告編に釣られると驚くのに間違いないです。

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主人公は実在の人物でテキサス選出の下院議員、チャーリー・ウィルソン(トム・ハンクス)。酒と女に目がない浮かれ者っぽいが元海軍士官で裏で国防族や意外なツテも持っているぽい人。その彼がお姉ちゃん達と一緒にジャグジーで遊んでる時にアフガン侵攻のニュース映像を見、ふと目覚めた正義感?でたった500万ドルだった国防歳出委員会のアフガン支援額を倍増させたのが始まり。そして旧知の大富豪で支援活動に熱心なジョアン(ジュリア・ロバーツ)に尻を押され、パキスタンの大統領と会い、難民キャンプを訪れたことから本格的に支援にのめり込み始め、CIAのはぐれ捜査官ガスト(フィリップ・シーモア・ホフマン)達と共に、エジプト、イスラエル等をも巻き込んだ、極秘の軍事支援組織を構成していくという、冷戦を裏側から見たストーリー。
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ある映画評に「アフガン情勢を頭に入れといた方が面白い」とあったんで、一応の心積もりはしていたつもりだけど、チャーリー氏はもっとお気楽で冷戦を背景に徐々に変化していくようなのを想像していたので、ジャグジーのシーンでダン・ラザーのアフガン報道を見てすぐ、お姉ちゃんの話そっちのけで「ボリュームを上げてくれ」と言い出したのにまず予想を覆らされた。ジュリア・ロバーツの役もPlayBoy誌の元カバーガールだかミス・コットンボウルだかの反共主義者で、向こうじゃありそうな人物。当時の映像資料も組み合わせて写し出される難民キャンプや旧ソ連の攻撃の様子、裏で動いていくアメリカの図に、その日の出掛けにニュースで流れていたNATO加盟を目指すグルジアへのロシアの圧力云々も思い出して、これは笑えない話かも、と段々固まっていくハメに…。

それでも映画としてはずっと眉間に皺寄せて見る程ではなく、チャーリーのスタッフの美女軍団"チャーリーズ・エンジェル"とガストが部屋に出入りするシーンなどは単純に笑えるし、重いテーマを軽めに見せようとしてる感じはある。ただ、全体がブラックジョークみたいなもので、やっと供給してもらったスティンガーでソ連のヘリを落として無邪気に喜ぶ現地の兵士などは、今の混乱にも繋がっていくだけに複雑な気分になってしまう。

そして結果はご覧の通り。チャーリーはその後も学校の建設など戦後の復興支援を議会に提案するも、ソ連の撤退と傀儡政権樹立で満足したアメリカは徐々に手を引いていき、「僕らは最後に失敗した」と。さすがに911の映像は出なかったけど十分皮肉は効いていた。ガスの話す禅の師匠の話(塞翁が馬)が象徴的。
posted by あさみ at 17:07| 大阪 ☔| Comment(3) | TrackBack(0) | 映像 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お!!観に行かれましたか!
軽いデートムービーかと思って入ったらしい若者カップルは「エライ目にあった。間違えた。」とばかりにグッタリして席をたっていましたヨ(^^ゞ
私も「スンマセン。舐めてましたm(__)m」でした(笑)

確かに配給会社は宣伝戦略を間違えているっス…

ジュリア・ロバーツがめっちゃ怖かったデス。
スクリーン越しなのに、私のチキンなハートは最大限にビビってました…(((( ;゚д゚)))
美人で資産家で名家の出で行動力と度胸があってって、ヘタなテロリストよりおっかない…

そうなんですよね。
20年前に14歳だった人は今、34歳。
言葉は悪いけど“使い捨てられたままで世界から取り残された”ようなモンです。
そういう“存在”が今の世界の情勢に関わって来ているのですから皮肉なものです(-_-)
Posted by かずべい at 2008年06月02日 19:49
こんばんは。

観たい映画のリストに入ってたんですが、
軽いかな?と思ったんで、二の足を踏んでます。

しかし、あさみさんのコメントで
やっぱり観ようかな?に傾いてます。

アフガンじゃないんですが、
「大いなる陰謀」も近いものがありました。
Posted by きたこ@香野 at 2008年06月03日 01:36
こんにちは。コメントありがとうございます。

>かずべいさん
あー、やっぱり気の毒な人いましたか(^^;デートにはキツイ内容だし、学生だと下手すると紛争自体を知らないかもしれないし、「分るかな?分んねぇだろうな」とでも言うしかありませんわ。
ジュリア・ロバーツはメイクで作ってるのもあるんでしょうが、結構老けて見えて驚きました。ジョアンのセリフで「神を味方につけるため」というのがありましたが、その神もアフガンの人達のいう神とは違うというのもねぇ。でも、役柄で考えるともっと怖い系の人でもいいかな?(これはチャーリーも。もっと俗物っぽくても可)
アメリカで流行りの見直してみような映画ですが、今と繋がってる分あれこれ考えさせられますね。

>きたこさん
テーマ的にはもっと嫌味な方が好みの方もあるでしょうが、個人的には満足でしたよ(予告編を除く)でも、人物描写他がアメリカ国内向けな感じはしました。ちょっとした名士が普通にロビー活動やったり資金集めしたり、あちらでは説明不要なことが日本じゃ意味不明になりかねないですし。
「大いなる陰謀」も見られなかったし、ドツボに嵌れそうな「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」も見にいけそうにないです。次は「マジック・アワー」かも。
Posted by あさみ at 2008年06月03日 12:05
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