会場/シアタードラマシティ 2005.4.9.夜
出演/鹿賀丈史、市村正親、近藤芳正、今井朋彦、加藤満、
小林正寛、石川禅、温水洋一、三浦浩一、藤木孝
「You Are The Top」で未遂に終わった鹿賀さんと市村さんの四季以来の競演。でも歌わない、踊らない。実話を元にした政治の世界のドラマで、東京公演を見た方の感想で分りにくいという苦情(?)を読んでいたので、時代背景だけは大まかに予習して行った。
舞台は冷戦まっただ中の西ドイツ。ヴィリー・ブラント(鹿賀丈史)は左派から出た初めての首相で東との融和をはかり、人気も功績もあった。が、人間模様は単純でなく、同じ党内でもブラントと対立しているおじさんことヘルベルト・ヴェイナー(藤木孝)や次期首相を狙うヘルムート・シュミット(三浦浩一)がおり、連立政権も一筋縄ではいかない。そんな中、ブラントは個人秘書のギュンター・ギョーム(市村正親)が東ドイツのスパイであったことが発覚し失脚する。舞台上には大きな装置はなく、執務机と事務机、すりガラスが入った時には演台に時には列車の窓に見立てられる衝立。音楽や効果音はなく、ほとんど出ずっぱりの役者に煙草の煙、ワイングラス、鞄といったちょっとした小道具とただセリフの掛け合いで話が進んで行く。
これだけ書くとただ固いだけのようだが全然退屈せず役者さんがきっちりと色を出してくれるのでぐんぐん引き混まれた。鹿賀さんの存在感に付き従う市村さんの細やかさ。スパイでありながらブラントの一番の信奉者であり理解者になっていくギュンター。どちらも誇りに思っていた彼が悔いたのは結果的にヴェイナーのブラント降ろしに利用された事だけだった。
東側とギュンターの橋渡しをするスパイ、アルノ・クレッチマン役の今井朋彦さんはずっと出ずっぱりでセリフがない時にも影のようにそこに存在している大変な役。途中左遷されるエイムケ(近藤芳正)やボディガードのウーリー(小林正寛)、神経質そうなラインハルト(石川禅)、スパイ疑惑をさぐるゲンシャー(加藤満)と過去を持ってそうなギュンター(温水洋一)と登場人物は首相室回りのスタッフだけでこれだけの話を組み立ててるのがすごい。
最後に事件から何年も過ぎ、ベルリンの壁が崩れた時に再びコメントを求められ遊説するブラントとそれを群衆の中から見送るアルノ、離れて見守るギュンターの姿が印象的。
「デモクラシー」、ご覧になったのですね。
すごくよくできた、派手さはないけど見応えのあるお芝居でしたよね。
ただ、私が見に行った劇場(東京の片隅のホール)は、セリフがよく聞こえなくて、残念だったのですが…。まあ、その分?、安かったんですけど(^^ゞ
未遂って・・・。(笑)
どーなんでしょう、三谷さんの芝居じゃなく、
この芝居で<共演>が実現したほうが
劇的!っていう神様の意地悪だったかもと
思うような舞台でした。
カーテンコールまでちょこまかとついて歩く市村さんが印象的でした。
私は2回観たんですが、史実っていうより
完全に芝居として観ていて、
最後に首相指名されるヘルムートがシュミット首相!ってところで、
初めて自分の知っている時事と合致するという・・・。(^^;;
全員そうですが、客席の視線だけに晒されて
舞台に居なくてはいけないという演出、
鹿賀さんと今井さんが特に・・・なんですが、
そこにいるだけで台詞もなし、動作もなし、
しかも客席と真正面に向き合って(鹿賀さん)!
いるんだけどいない、でも、それはギョームから報告を受けている内容だから、見ていることになっている存在だけの芝居(今井さん)
濃いかもしれない彼らだからこそできたのかも。
>六条さん
そちらのブログでの感想も拝見してました。セリフが聞こえにくいのは辛いですよね。色はないけど噛みごたえたっぷりで良くできたお芝居でした。
>きたこさん
だって未遂だもん(笑)
私も芝居として話追ってましたが、予習が効いたのかたまに出てくる年代と固有名詞にちと反応を・・・壁が崩れる辺りの淡々とした語りにかえってグッときました。
これ作者は英国人なんですね。客観的に見るには他国の人の方がいいのかな。その人がキャストと顔合わせした時に一目見て誰が誰の役が分かったらしいですから、やっぱ皆ハマリ役だったんでしょう。
でも東京に未遂みたいな演出するはずだったみたい。
でもT.E.が東京まで競演したいです。
「時代はなんとかだ-」とか書かれると変に哲学っぽい(が、意味はない)