2006年08月05日

大地の咆哮

出版社: PHP研究所 著者:杉本 信行

ちょいと真面目な本の話。
新聞の書評で上海総領事館員自殺事件当時の上海総領事が
書いた本と知って興味を引かれて購入した。

事件そのものには言及がなかったのが少々残念だったけど
外務省のチャイナスクール出身の外交官には
なお書けない部分もあったのかと思う。
それでもキャリアに沿って見聞きしたものに意見を交え、
中国の問題を抑制のきいた文章でまとめてあり、
時代ごとの具体的な出来事を取り上げられてるので
最後まで面白く読めた。

官僚っぽい所もあるかと思えば、靖国の下りは本庁本流とは
逆を言ってるし、水不足や農民問題などは突っ込んだ意見も
あって著者のこだわりが出てる。バチカンとの国交正常化案
にはそういう手も考えられるのかとへ〜っ100。
あれこれ問題は山積みでも国の場所を引っ越す訳には行かない、
できることから考えようという引かない姿勢が好ましい。

そして、この本を読み終わったのは木曜日の帰りの通勤電車。
家に戻ると夕刊に著者の訃報が載っていた。
3日午前5時10分、肺ガンのため死去。57歳。
末期ガンと書かれていたけど、何かができる人が亡くなるには
やはり早い気がする。病床で書かれたこの本の完成と出版が
間に合った事が少しでも慰めになるのか。
お悔やみ申上げます。
posted by あさみ at 12:57| 大阪 ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | 本棚 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは。
「大地の咆哮」の本をあさみさんに紹介された後
長崎の海自隊員が情報漏洩で処分された記事を
読みました。
その隊員は、度々上海を訪れていたとかで
それも毎回同じクラブに通っていたそうです。
そして、そのクラブには自殺した上海総領事館も
通っていたとか・・・・
なんだかミステリーの臭いがしそうです。

杉本信行さんは亡くなられたのですね。
ご冥福をお祈りします。
是非この本を読んでみたいと思います。
Posted by ねこ江戸 at 2006年08月05日 23:55
こんにちは。
昨夜レス入れたつもりだったんですが・・・
寝ぼけてたのかもしれません。

海自一曹の事件も丁度本を読んでる最中で
またか、と思うと同時に、知らない場所で
色々仕掛けられてるのかと空恐ろしい気が
しました。

他の中国物の本と内容は被ってますけど、
最近中国に行かれたねこ江戸さんには
余計に興味深いんじゃないんでしょうか。
Posted by あさみ at 2006年08月07日 11:17
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック