会場/サンケイホールブリーゼ 2008.12.7.夜
出演/藤木直人、橋本じゅん、中越典子、中村まこと、片桐仁、伊達暁、新谷真弓、六角慎司、内田滋、小松利昌、前田悟、武田浩二、八十田勇一、松尾貴史、加藤貴子、生瀬勝久
師走は忙しい。昨日は朝から映画と舞台とその他合わせて4件ハシゴした。まずは舞台の感想から。
「冬の絵空」は大阪桜橋のサンケイホールブリーゼの柿落とし公演で、藤木直人さんの初舞台という話題性もあってかチケットが物凄く取り難く、チケ取りをお願いしたきたこさんに大変お手数をお掛けしました。
私はブリーゼはオープン後初だったんで、半ばおのぼりさん気分で行ったわけですが、白を基調にした大きな吹き抜けのある建物できれいでした。しかし、ビルの7、8階の劇場は全体に上に長い感じで出入口が少ない?手狭?席は2階席の真ん中辺りでしたが座ってみるとちょっと舞台が見難い感じ。以前のサンケイホールのなだらかなフロアも後ろはキツかったけれどこれもちょっと微妙かも。
まあ、前のブロックに身を乗り出してバードウォッチングをしてる2人組が居たため更に視界が悪く、少々辛口になってるかもしれないので、年明けの1階席の時に再チェックしてきます。
さて、ストーリーの方はと言えば、忠臣蔵をベースにした劇団そとばこまちの劇の再演です。
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元禄の世。浅野内匠頭(中村まこと)の切腹後、離脱者が出る中いつまでも吉良邸討ち入りに踏み切らない大石内蔵助(橋本じゅん)や赤穂浪士。
世間の評判も落ちていく中、仇討ちを期待している天野屋利兵衛(生瀬勝久)は業を煮やし、娘のおかる(中越典子)に言い寄っている人気役者・沢村宗十郎(藤木直人)を使って一計を案じる。
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「天野屋利兵衛は男でござる」の名台詞で有名な天野屋さんですが、この生瀬@天野屋、怖いっす〜〜〜。仇討ち支援も浪士や殿への忠義立てや男意気などではなく、しこたま金を持った人間の暗い楽しみ、際限のない欲求という描き方がされている。終盤で大石と対するシーンが見もの。
けれど、吉良(松尾貴史)と清水一学(伊達暁)が…とか、犬と言い張ってるシロ(片桐仁)だとか、堀部安兵衛(内田滋)以下の浪士のボケっぷりなどお遊びもあってずっとシリアス一辺倒ではありません。
その中で橋本@大石さんは悩みの多い真面目な役で気の毒だったかも。唯一遊んでたのは松尾@吉良との「痛ーーィ…」ぐらいでしょうか。そういや吉良上野介はダブルキャスト。私が行った回はキッチュだったけれど、粟根さんがやるとまた違った可笑しみがありそうです。
後、好きな女優さんだけども中越典子さんのおかるがすごく良かった。「犯さん哉」や「ダブリン-」の再演も見たけど、今回更に上手くなってる気がする(<偉そう)出場は少なかったけど堀部の妻役の加藤貴子さんもなかなかいい感じだったし、色々できる人が多かっただけに勿体無い人もあった。
が、回りが濃すぎて辛いと言うか、もう1人のキモ、藤木@宗十郎が弱いんですよね。恋のために踊らされ、役者と素の自分の間で惑う美味しい役どころのはずが正直喰い足りず。勿体ないなーと…。
でも、初舞台の初日から二日目。これから東京の楽までに化けることを期待しつつ。
私、昭和の澤村宗十郎丈の静御前に
物凄い思い入れがある上、
同じ紀伊国屋、澤村田之助さんの
悪婆なんかも好きなんで、
なんで、紀伊国屋で「助六」?と
突っ込んでました。
紀伊国屋って、女方の家系のような気がしてたんで。
半端に歌舞伎を知ってるだけに、
せめて所作や声の出し方など、
基本くらい押さえてくれよ・・・と
違和感に取り残されてましたわ、
あの紀伊国屋には。
折角の再演なのに、
今は歌舞伎のほうだって、
絶対に協力してくれるだろうに。
ストーリー的に面白かっただけに、
出演者も役者が揃ってただけに、
勿体無い気が・・・。(爆)
私は歌舞伎にそれほど造詣が深くないので、昔の山西惇さん演出のは見てないけど、元の脚本から見た目の分りやすさやお遊び設定もあったのかと妥協できたんですが、気になりだすとキリがないでしょうね。
ただ、所作や立ち回りも初舞台でそこまで求めるのは酷かと思う反面、それならそれで別の見せ方はなかったのかなとも思うんです。少々現代的でも激しく心情を出すとかなんとか。そこが弱いんで大石と偽物の立場が逆転していく辺りもセリフで説明された気がしてもう一つ流れに乗りきれず…。
もしかして演出が私には合わないのかもしれません。この方のは数本しか見てませんが、大概何かが腑に落ちなくてすっきりしない。最後の桜や舞台全体はキレイでもどこか勿体無いです。