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どことも知れない港町・守加護(すかご)。映画セットのような街を牛耳るボス・手塩(西田敏行)の女・マリ(深津絵里)に手を出した下っ端のクラブ支配人・備後(妻夫木聡)。関係がボスにバレて危機一髪の所、伝説の殺し屋「デラ富樫」を連れて来るのを条件にその場を逃れたが、肝心の殺し屋は見つからず、一か八か売れない俳優を殺し屋役に仕立てて乗り切ろうとする。一方、ギャング映画の撮影と騙されてやってきた役者・村田(佐藤浩市)は怖いもの知らず。対峙したボスに気に入られ雇われることになるが…
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と、いかにも三谷さんらしい特殊な舞台に放り込むまれた人達のコメディ。西田さん演じるボスがマーロン・ブランドを彷彿とさせると公式ページには書かれていたけど、「ゴッドファーザー」というよりも一昔前の無国籍ギャングものじゃなかろうか。劇中の白黒映画のワンチャイ(寺脇康文)やバンビ(堀部圭亮)なんか、岡田真澄やフランキー堺の外人役みたいよ。その他にも前宣伝で言われてたようにちょっと出の役者さんが多く、勿体無いやら可笑しいやら。序盤の撮影現場を中心に隠れキャラ探しも結構楽しい。
でも、一番の見所はやはり売れない役者役の佐藤浩市。台本がない映画を訝しみながらも、憧れのギャング映画で初の主役とくれば張り切りもする。カットが掛かると同じセリフを繰り返し、カメラがある(と聞かされている)方向にポーズを決め、しきりにラッシュを見たがる。そんな彼をギャング達が勝手に勘違いし、マネージャー(小日向文世)やCM撮影隊など巻き込まれ組も会話が妙に噛みあってヘンな方向に事態が転がっていく。とはいっても、今時そんなギャングいないって!な設定とコメディ前提で見ているためかリアルな緊迫感は感じない。どう収めるのか、次にどう持っていくのかの方に意識があって、他のお客さんともども声出して笑ってそれで満足。
それと前回の「THE有頂天ホテル」で少し感じたハイテンションで突っ走るしんどさが減って、古い作品や役者さん、裏方さんを含めた映画への愛情たっぷりな所がいい。ラスト近くの村田の憧れの人の言葉や最後を飾る裏方さんの仕掛けが効いててほっこりさせてくれた。
しかし、最後に村田に弟子入りを申し出たボスの腹心(寺島進)は、どうなったんでしょうねぇ?役者として弟子入りしたんか?